動脈硬化により狭窄あるいは閉塞した冠動脈に対して行なう、カテーテルを使用した手術です。カテーテルとはナイロンでできた細長い管で、この管の中にさらに細い治療器具を挿入して血管の治療をします。治療対象となるのは、虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞など)です。
手首・大腿部などから動脈内に挿入したカテーテルを、心臓の栄養血管である冠動脈の入口まで進めます。このカテーテルを介し、吸引チューブ・風船・ドリル・ステント(金属網)などを冠動脈内に導入して、血管閉塞の解除・狭窄部位の拡張術を行ないます。
入院せずに外来で手術する病院もありますが、安全性確保のため、当院では数日の短期入院をお願いしています。手術は、手首か太ももを注射麻酔した後、ヨード造影剤による冠動脈撮影・血管内超音波による冠動脈内部の観察をしながら行ないます。手術は60-120分で終了しますが、終了後1-8時間はベッド上での安静が必要になります。
治療の危険性は、カテーテル操作とヨード造影剤によるものです。血管損傷による出血、血栓症、感染症、造影剤アレルギーなど、統計上約0.5%に致命的合併症が起こるとされています。必要性について十分な検討をした上で、施行すべき治療です。
心臓の収縮活動は、心臓の筋肉に対する電気刺激によって行なわれています。心臓には、自発的に電気刺激を生み出し、心臓全体に行き渡らせるシステムが存在しています。これを刺激伝導系といいます。刺激伝導系に異常が起きた時、その機能を補うのが人工ペースメーカーです。
治療の主な対象者は、洞不全症候群・房室ブロックなどの脈拍の低下をきたす不整脈の方です。薄型リチウム電池と電線(電極リード)を半永久的に体内に植え込むことになるため、治療適応については、精密検査をして慎重に選ぶ必要があります。また、電池には寿命があるため、植え込み手術後6-10年で、電池交換手術が必要になります。
実際には、鎖骨下、前胸の皮膚を注射麻酔して、5cmほどの切開を入れ、鎖骨下静脈から電線を心臓に進めて固定します。その後、電線と電池を接続し、電池を皮下に埋め込みます。手術時間は60-120分です。当院では、感染・電線のずれ・出血などの危険性を考慮し、一週間後の抜糸までは入院していただいています。植込み後、1ヵ月後にペースメーカーのチェックを行い、以後、4-8カ月おきにチェックをします。
治療の危険性は、電線挿入に伴うもの(血管・心臓穿孔、出血、気胸、血胸など)と異物留置に伴うもの(感染、金属アレルギーなど)です。ペースメーカー植込み後の問題点として、MRI検査を受けることができなくなります。