みなさま、こんにちは。
久我山病院 リハビリテーション科の前田です。
新年度を迎え、外に出かけるにも気持ちのいい季節になりました。
そんな中、外来を担当しているAさんから次のようなお話がありました。
「この前せっかくお出かけ日和だったのに、めまいが起こりそうな感じがあって外に出れなかったのよ」
話を伺うと過去にメニエール病と診断されたことがあり、今でもまれにめまいのような症状を感じることがあるとのことでした。
2019年に厚生労働省より発表された国民基礎調査の結果によると、めまいの有訴者率(病気やけが等で自覚症状のある1000人当たりの人数(入院者を除く))は、全年齢で21.6人。65歳以上となると31.3人となっています。
当院では、めまいを訴える方に対しリハビリをご提供しており、記念すべきリハビリコラムの1回目は「めまい」に対するリハビリをご紹介しようと思います。
一言で「めまい」と言っても症状は人によって様々で、具体的には以下のような症状が挙げられます。
めまいの症状が数多くあるように、原因も様々です。
当院でめまいのリハビリをご提供している患者さんが診断を受けるものとして、以下の病気が代表的です。これらの病気はいずれも耳に原因があります。めまい以外の症状が他に無い場合、原因は耳にあることが多く、まずは耳鼻科を受診してみましょう。
これらの病気のうち「良性発作性頭位めまい症(りょうせいほっさせいとういめまいしょう)」を除く、「メニエール病」「前庭神経炎(ぜんていしんけいえん)」「めまいを伴う突発性難聴」については、「前庭(ぜんてい)」という器官の機能低下を引き起こします。「前庭」は、耳の奥にある器官で頭の回転や傾きを感じ取り、目や筋肉を協調的に働かせることで、私たちがバランスを保てるよう制御を行っています。この前庭の機能が低下すると頭の回転や傾きを正確に感じ取れなくなってしまうため、めまいを感じ、バランスも保てなくなってしまいます。
前庭の機能は先に述べた病気のほか、加齢でも低下すると言われており、適切な治療をしないと前庭の機能が完全には回復せず、ふらつきや特定の動作でのめまい感が、いつまでも残ってしまうことがあります。
※なお、めまいは脳や心臓の異常でも生じることがあります。「手足の力が入らない」「痺れがある」「言葉がうまく出てこない」「息苦しい」などの症状がある場合はすぐにお近くの脳神経外科や循環器内科などを受診されることをお勧めします。
このような負のサイクルから脱却するには、「動くこと」が重要と言われています。当院では、耳鼻咽喉科医師の指示の下、1人1人の状態に合わせて適切なリハビリをご提供することで、上記のような悪循環へ陥らないようにサポートしています。
ここでは、当院で行っているリハビリの内、基本的な7つの体操の一部をご紹介します。
なお、7つの運動が載っているパンフレットはこの記事の最後に記載しているリンクからダウンロードできます。
この体操以外にも活動量を落とさないよう、出来る範囲で動くこともめまいのリハビリには重要です。
特に散歩などは、景色を見たりすることで目や頭の動きも伴うので、とても有効です。冬も終わりこれから新緑のきれいな季節です。近場にちょっとお散歩に出かけるのもいいかもしれませんね。
パンフレットのダウンロードはこちらのページから